〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

 「文学の国いわて」石川啄木 宮沢賢治という偉大な作家を輩出


[ワレモコウ]


「文学の国いわて」講演会・シンポジウム

本県の文芸振興を考える「文学の国いわて」は、7月29日、盛岡市のアイーナで開かれた。


第1部 芥川賞講演会 作家 若竹千佐子氏
 「おらおらでひとりいぐも みんなでいぐも」

若竹さんは、老いと孤独に向き合う女性を描いた受賞作「おらおらで−」に「みんなで」を加えた演題について「自分に向き合うのは大事だけど、閉じこもっては駄目。社会に対しおかしいことはおかしいと発言しなければと思った」と解説。今後の創作については「男と女の愛ってどういうことだべってことを書いてみたい」と語った。
(2018-07-30 岩手日報


第2部 シンポジウム
 テーマ 「文学の国いわて〜啄木、賢治から未来へ〜」
  出席者 達増拓也知事、若竹千佐子氏(作家)、平谷美樹氏(作家)、道又力氏(脚本家)
  コーディネーター 菊池幸見氏(IBC岩手放送アナウンサー)


‐‐菊池 本県は石川啄木宮沢賢治という偉大な作家を輩出している。最近では岩手県ゆかりの沼田真佑さん、若竹さんが芥川賞を受賞した。本県の盛り上がりをどう感じているか。

  • 達増 画期的・歴史的なことだった。「文学の国いわて」というものは本物だと感じた。全国高校生文芸コンクールでも日本一を取るような活躍が続いている。

‐‐菊池 道又さんは文学史の視点で近年の岩手をどう捉える。

  • 道又 1940年の芥川賞候補になった森荘已池と儀府成一は、方言が分かりにくいとの理由で落選した。2018年、若竹さんは逆に方言が高評価だった。

‐‐菊池 平谷さんの次世代への期待は。

  • 平谷 今年の啄木・賢治のふるさと「岩手日報随筆賞」の最優秀賞は高校生。その作品からは、文学に対する真剣な姿勢が伝わる。

‐‐菊池 若竹さんは遠野市出身で千葉県在住だ。県外在住作家の視点で、岩手にはどんな魅力があるか。

  • 若竹 方言の持つ豊かさや温かさなど言葉がとても魅力的。また、岩手の人柄は負けず嫌いの一面がある。心に強い芯を持ち、あきらめずに頑張る力は県人気質。面白い作品を書ける下地は絶対にある。
  • 達増 岩手芸術祭には文芸部門もあるので、俳句や短歌などいろいろな分野に挑戦してほしい。文学を県民一人一人の暮らしや仕事にも生かしてほしい。

(2018-08-26 岩手日報