(「啄木の息HP 2005年秋」からの再掲 + 2018年早春 + 1999年夏)
* 写真について 撮影年が記されていないものは2005年撮影
◯ 小樽の啄木
「風に吹かれる啄木」水谷のぼる ブロンズ(小樽文学館)2018年撮影
函館本線に乗り札幌から小樽に向かうと、途中から石狩湾が右車窓に見えてくる。窓から波が入ってくるかと思うくらい海の近くを通る。
啄木はこの小樽に18歳の1904年(明治37)9月〜10月にかけて、次姉トラ宅(夫・山本千三郎は、当時小樽中央駅駅長)を訪問した。そして、1907年(明治40)21歳の9月から翌1908年1月半ばまでは、小樽日報記者として暮らす。1908年(明治41)4月半ばには、上京する前の6日間ほどを過ごす。
この地に、啄木はどのような足跡を残したのだろう。
1907年・明治40年 啄木日記
明治四十丁未歳日誌
十二月二十九日
今日は京子が誕生日なり。新鮭を焼きまた煮て一家四人晩餐を共にす。
人の子にして、人の夫にして、また人の親たる予は、噫、未だ有せざるなり、天が下にこの五尺の身を容るべき家を、劫遠心を安んずべき心の巣を。寒さに凍ゆる雀だに温かき巣をば持ちたるに。
一切より、遂に、放たるる能はず。然らば遂に奈何。
1 小樽駅と啄木
運よく蒸気機関車ニセコ号が、小樽駅4番ホームにいた。札幌発着で、秋は紅葉狩り・果物狩り・温泉と楽しみの多い人気のあるイベント列車だ。ただし、運転日も運転区間も定まっていない。
雪の小樽駅舎(2018年)
2005年「車窓から生まれたものがたり」展
10月14日の「鉄道の日」を記念して、啄木と鉄道 「車窓から生まれたものがたり」展が小樽ステーションギャラリーで行われていた。
「啄木を紹介するコーナー」中央の小さい写真は、義兄・山本千三郎氏
小樽にゆかりのある、石川啄木、小林多喜二などの文学者たちと鉄道との意外な関わり、歴史や写真などが展示されていた。昔の列車の椅子が飾られ、窓からは、ビデオで列車からの風景が見られるようになっていた。
壁には、石川啄木の義理の兄が中央小樽駅長を務めていたことなどが紹介されていた。
(つづく)