〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い息づかいに触れてみたい

 歌を詠む啄木の頭上に流れる豊かな韻律

おんば訳で読む啄木 天声人語

  • 〈稼(か)せぇでも稼せぇでもなんぼ稼せぇでも楽(らぐ)になんねァじィっと手っこ見っぺ〉。はたらけどはたらけど猶(なほ)わが生活(くらし)楽にならざりぢつと手を見る。石川啄木の名歌100首を、岩手県の気仙地方に暮らす津波被災者らが地元ケセン語に訳して刊行した。
  • 『東北おんば訳 石川啄木のうた』。新井高子埼玉大准教授が2年間、大船渡市内の仮設住宅な どを巡り、おんば(おばあさん)と一語一語、翻訳した。
  • 大海(たい かい)にむかひて一人七八日(ななやうか)泣きなむとすと家(いへ)を出でにき。〈大海(おみ)さ向がってたった一人(しとり)で七(しぢ)、八日(はぢ んち)泣ぐべど思って家(えぇ)ば出てきたぁ〉。参加者には津波で家族や友人、自宅をなくした人も少なくない。
  • 同書を開き、スマホでQRコードを読みとって生の声を聴く。きっと歌を詠むときの啄木の頭上にも、負けず劣らず豊かな韻律が流れていたことだろう。

(2018-03-14 朝日新聞


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