〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

 興味深かったのは啄木と節子の回「歴史秘話ヒストリア」


[アラカシ]


歴史上の人物に会えるなら、あの女性に 井上あさひアナ

  • 歴史上の人物や出来事の知られざる側面に焦点を当てるNHKの「歴史秘話ヒストリア」(金曜夜8時)。2009年に始まった番組は18年4月で10年目に突入します。現在、番組の「案内役」をつとめる井上あさひアナウンサーに、お話を聞きました。

 ――スタジオ収録やロケの際、意識されていることは何ですか?

やっぱり、視聴者の皆さんと一緒に楽しむというんですかね。私の場合、いわゆる「歴女」みたいな歴史に詳しいというわけではないので、新たに知ったことに素直に感動する、それを見ている方とも楽しく共有できたらいいなと。それをナレーションなどで自分なりの表現につなげられたらいいなと思っています。

 ――特にこのテーマの回は興味深かったというのは何でしょうか?

石川啄木と妻・節子を扱った回(「妻よ、私がバカだった〜石川啄木と妻・節子〜」16年9月放送)はすごく印象深かったです。啄木が26歳で亡くなるまでを支えている面ももちろんそうですし、夫の才能にほれるという、女性としての感覚もすてきだなと思って。なんだかものすごく心に残っています。

 ――もし、歴史上の人物に話を聞けたり、歴史的な出来事に立ち会えたりできるなら何をしたいですか?

葛飾北斎の娘・お栄(えい)さん(葛飾応為)でしょうかね。あの時代に自分の芸術的な才能で生きていこうとした女性で、ものすごい才能があったわけですけど、自分の道を進もうとするのがいかに難しい時代だったかと思うと、興味があります。お栄さんのことを知って、そういう女性は普段どんな風に何を考えて生きていたのかとか、でも女性らしい柔らかいところもあったのかとか、そういうのは思いますね。

 ――新しい年も始まりましたが、これから番組でやっていきたいことは何でしょうか?
この番組は家族でご覧頂ける時間帯ではあるんですけど、夜の再放送もあります。私なんかは見ている番組に入り込んじゃうタイプなので、テーマによっては1人で見ていて少し悲しい気持ちになったり、切なくなったりする方もいらっしゃるかもしれません。そんな時、なんとなく声だけでも、ちょっとしたほっとする瞬間とか、癒やしとか、何かそういうものも含めた体温を感じるようなナレーションができたらいいですね。(聞き手・佐藤剛志)
(2018-01-01 朝日新聞


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