〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

14歳の出会い 貧窮の中で生きた啄木と節子『わが夫 啄木』出版

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[フユザクラ]

『わが夫(つま) 啄木』

  鳥越碧
   1,800円+税
   発売 2018年12月14日
   発行 文藝春秋企画出版部

  • 石川啄木の死の1年後、同じ肺結核で死の床にある妻の節子の回想で始まる小説で、全編を節子の視点で描き、二人の錯綜した愛を掘り下げます。互いに14歳のときに出会い、結婚し、故郷を追われて漂泊し、貧窮の中で生きた二人。27歳で若き命を散らす啄木の生涯に重ねて、節子の救われ難く見える一生にスポットライトを当て、その心情に寄り添います。
  • たとえ世間的には不幸に見えたとしても、彼女にとってはキラキラとした誇らしい一生だったのではないか、というのが作者の節子への思いです。死の床で節子は 一生を振り返ります。そして、最後に頷きます。後悔はしていない、誰でもない自分の意志で、己の一生を生き切ったのだからと。