[ユズリハ]
『大逆事件』逮捕者たちの「早すぎる死刑」
大衆は神である(23) 魚住 昭 ノンフィクションライター
ノンフィクション作家・魚住昭氏が極秘資料をひもとき、講談社創業者・野間清治の波乱の人生と、日本の出版業界の黎明を描き出す大河連載「大衆は神である」。
時代は、「政治的発言」に対する抑制が強まるころだった。弁論雑誌『雄弁』創刊にむかう清治の目には、「大逆事件」はどう映ったのだろうか――。
連載第1回 :「極秘資料を発見!日本の出版のあけぼのと、野間家の人々」
第三章 大逆事件と『雄弁』、そして『講談倶楽部』―十二人の死 (1)
〇何といふ早いことだらう
- それから40~50分おきに秋水の仲間らが1人ずつ処刑された。11番目の、この日最後の処刑者となる古河力作(ふるかわ・りきさく)が息絶えたのは同日午後3時58分だった。
- 当時、朝日新聞の校正係をしていた数えで26歳の石川啄木は日記にこう記した。〈社へ行つてすぐ、『今朝から死刑をやつてる』と聞いた。幸徳以下十一名のことである。あゝ、何といふ早いことだらう。さう皆が語り合つた。(中略)夜、幸徳事件の経過を書き記すために十二時まで働いた。これは後々への記念のためである〉
〇「どうか堺さんを、お家まで送ってください」
(2018-10-21 講談社 現代ビジネス)
40~50分おきに次々…『大逆事件』逮捕者たちの「早すぎる死刑」(魚住 昭) | 現代ビジネス | 講談社(1/2)