〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い息づかいに触れてみたい

新刊寸評『海の蠍 明石海人と島比呂志』


◎新刊寸評 
 増補新版『海の蠍(さそり) 明石海人と島比呂志』山下多恵子 著

  • 明石海人(1901〜1939年)と島比呂志(1918〜2003年)、2人の作家の共通点はハンセン病。2人が全身全霊で伝えた言葉と壮絶な人生を紹介している。
  • 明石の時代、ハンセン病は「不治の病」であった。失明と気管切開を経た明石は「空中に腕を回して文字を書き、あるいは呼吸管の穴をすりこぎのような手でふさぎ、その息を声帯に回して、辛うじて声を発し」、言葉を紡いだ。
  • 一方、島の時代、ハンセン病は治療薬で治癒する病気となった。それにもかかわらず療養所で囚人のような生活を強いられた島の作品を「囚われの文学」と捉え、読み解いている。
  • 本書は2003年に刊行されたものの「増補新版」。雫石町出身、新潟県在住の著者が「新潟日報」に連載した「島比呂志からの手紙」を加えた。

(2017-02-05 岩手日報

新刊『増補新版 海の蠍(さそり) 明石海人と島比呂志 ハンセン病文学の系譜』
 山下多恵子 著 未知谷
 2017年1月発行 2700円