〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

90歳になる来年「高村光太郎と石川啄木について本を書くつもり」中村稔氏


[黄葉]


◎遠みち 近みち < 日本経済新聞 夕刊
 中村稔89歳 燃える執筆意欲 編集委員 宮川匡司

  • 「四十五十は洟(はな)垂れ小僧」という言い回しに、20代のころは反発を覚えていたものだ。しかし、いざその年代も過ぎようとしている昨今、「なるほどうまいこと言うものだ」と苦笑いを交えて、肯(うべな)うことが多くなった。
  • 来年1月に90歳を迎える詩人で弁護士の中村稔氏の驚くべき仕事ぶりに接した時には、怠惰な自分を省みて悄然(しょうぜん)とならざるをえない。ほぼ2、3カ月おきに単行本を出し、しかも西鶴文学という新たなジャンル、書き下ろし詩集という新たな形態への挑戦が続くという、とても卒寿とは思えない精力的な執筆活動を続けている。
  • 90歳になる来年は、「高村光太郎石川啄木についてそれぞれ本を書くつもりです」。言葉の本質を見つめる仕事は、なおも途上といっていい。

(2016-12-03 日本経済新聞 夕刊)