〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

石川啄木の歌を見て「なんだこの弱気な男は!」ってイライラした


[ハイビスカスローゼル]


週刊朝日  2016年12月9日号
 知花くららも納得!「つまらない短歌もよむ」ことの大切さ

  • モデルの知花(ちばな)くららさんが、「朝日歌壇」の選者である永田和宏先生に短歌を詠む秘訣を聞く本誌連載『知花くららの「教えて!永田先生」』。今回は近代短歌の歌人について尋ね、つまらない歌もよむ(読む/詠む)ことの大切さを教わった。

*  *  *
知花:今日は先生が考える、知っておいたほうがいい近代短歌の歌人を教えてください。

永田:僕ね、近代以降に作られた歌の中から、歌を作らない人でも知っておいてほしい100首を選んだ『近代秀歌』という本を出しているんです。ぜひ好きな歌人を見つけて深く知ってほしいと思いますね。歌は代表歌に惚れるんじゃなくて、それを作った人に惚れることが大事だから。

知花:そういえば私が小さいころ、母がなぜか「石川啄木を朗読しましょう」と言い出したことがあって。当時は意味もわからないまま「エライ人の歌」「文学」という感じでサッと読んだだけでしたけど、のちに啄木の人生を調べる機会があって、その後で彼の歌を見ると「なんだこの弱気な男は!」ってイライラしたんです(笑)。でも逆に言えば、彼の歌をすごく身近に感じて。私たちと変わらないんだなぁって。

永田:あ、まさにそれが大事なの。歌人だからって、立派な人ばかりじゃないんですよ。駄作も含めて鑑賞すると、いい歌がより際立つから。いい歌ばっかり作ろうとすると、いい歌はできてこない。100首作って、1首いい歌ができたら上出来ですよ。だからこそ、ダメな歌も必要で、たくさん作ることも重要なんです。

週刊朝日  2016年12月9日号より抜粋

(2016-12-03 excite.ニュース)