〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「日本は東洋唯一の立憲国である」21歳の啄木は誇らしげに記した


[アノダ・クリスタータ]


風土計>岩手日報

  • 石川啄木が生まれた時、日本という国に憲法はなかった。生誕の3年後、1889(明治22)年に明治憲法は発布されている。自分より年若の最高法規に対する思い入れは強かったようだ。
  • 「日本は今、立憲国である。東洋唯一の立憲国である」。21歳の啄木は誇らしげに記した。そして問う。「此立憲国の何の隅に、真に立憲的な社会があるか?真に立憲的な行動が、幾度吾人の眼前に演ぜられたか?」。
  • 日清、日露の戦勝に浮かれる社会と政治を嘆き、日本の「立憲主義」を憂えた。その警句から1世紀余り。憲法に基づく政治が行われているか、立憲主義が再び問われている。きょうは、憲法違反の疑いが拭えぬ「駆け付け警護」の任務が国連平和維持活動(PKO)の部隊に与えられる。
  • 「非立憲的な事実のみが跋扈(ばっこ)して居る様な事はないか?」。今の政治に向けたかのような啄木の叫びだろう。あすから衆参両院の憲法審査会が久しぶりに再開される。「立憲主義」がテーマの一つであるという。

(2016-11-16 岩手日報