〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

自分の “ことばの柄杓” ですくい取る 「短歌甲子園」


[彩雲]


みちのく随想 この夏を汲む
「新聞に潜む声と表情」

  • 歌人石川啄木生誕130年記念の「短歌甲子園2016」に勤務校の特設文芸チームは出場した。
  • 対戦の舞台は、啄木にならい三行書きで紅対白の二首が並び映される大スクリーンの前だ。「天然」の題で詠んだ、二年男子の歌。「描く空/いくら直せど程遠く/天然ものの色は創れず」─ふるさとの空を描こうとして描ききれないもどかしさを、自分の「ことばの柄杓」ですくい取っている─客席からスクリーンを仰ぎ、その歌から降りかかる清冽さにわたしは洗われていた。
  • 9月初旬、今夏の全国大会報告を一面とし月刊学校新聞を発行した。記事の一つ、「短歌甲子園2016」には出場生徒の短歌と声を掲載した。緊張の中で感受し、歌として伝える苦しみと喜び。大舞台を踏んだ満足と自信に輝く彼らの表情も、そこには潜んでいる。

(第9回岩手日報随筆賞受賞者・盛岡市 菊池久恵)
(2016-09-25 岩手日報