〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

ブログ感覚の手紙 『啄木の手紙を読む』新刊


『啄木の手紙を読む』
 池田 功 著 新日本出版社

2016年2月に生誕130年を迎える石川啄木。その手紙は100年以上前に書かれたものでも、ブログ感覚で今の読者に訴えてくるものがある。
そこには恋愛感情、借金の依頼、病苦などが率直に記され、しかも社会主義への思想の深まりが分かり面白い。まるで小説のような手紙を読み解き、新たな啄木像を発見する。

[目次]
1 ブログ感覚の手紙
2 書き出し・時候・追伸の工夫
3 文体革命の時代と署名
4 経済苦の発信
5 病苦の発信
6 思想の深まりと大逆事件への反応


「まえがき」より
  用もなき文(ふみ)など長く書きさして
  ふと人こひし
  街に出てゆく
        (石川啄木『一握の砂』)

  • この歌は、啄木の手紙の本質をズバリと語っている歌なのです。
  • 実用的な知らせるべき内容があって書いている部分よりも、むしろはずみがついてどんどん書いていってしまったという方が圧倒的に多いのです。そして重要なのは、啄木の手紙の魅力はまさにこの「はずみがついてどんどん書いていってしまった」部分にこそあるということです。それを私はブログ感覚と名付けました。
  • 同時に、それぞれの手紙には多くの工夫がなされているのです。書き出しや、時候の挨拶や追伸、相手によって変える文体や署名等です。

『啄木の手紙を読む』
池田 功  著
新日本出版社  税込価格 2,160円
2016年1月 発行


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