〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

年の瀬に頭の体操 イチ ニ サンッ!   


[マチルダ]


[基礎学力検査 国語]


次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。

「(A)がみな 我よりえらく見ゆる日よ 花を買い来て 妻としたしむ」は、詩集『(B)』にある、石川啄木24歳の時の作品である。啄木はこの頃、『東京朝日新聞』の校正係となっていたが、経済的困救からは脱しえず、健康にも勝れず、また小説や評論を書いても誰もそれを評歌してくれなかった。

(C)、友人達は目標に向かって着々と歩んでいた。(D)、啄木が委候をして金を借りまくっても、黙ってそれを許した同京の選輩であり友人だった金田一京助は、東京帝国大学の助手となり、論文を次々に発表し始める。(E)、盛岡中学校在学中に啄木に俳句・短歌の手ほどきをしたと言われる野村胡堂は、報知新聞に入社して人物評論欄「人類館」を練載している。周りを見れば見るほど、啄木は、自分の惨めさを思い知らされていた。

この詩集を刊行して2年後の明治45(1912)年4月13日、母親の死から1ヶ月後に啄木は亡くなるが、大正8(1919)年、友人達の尽力によって3刊の全集が刊行される。

お金を借りて遊郭に入り浸る啄木……友人がどれだけ諫めても、話に(F)を傾けることはなかったという。友がなければ生きていけなかった啄木の作品は、その友人達によって、いまに至るまで伝えられている。

「友」とは、どのような意味を持って作られたのか、また、「朋」とはどう違うのだろうか。「友」という漢字は、篆文を見ると、手が二つ書かれている。これは、一人の手ではなく二人の手で、互いが互いを庇い、助け合うことを意味している。これに対して「朋」は、金文に見えるように、繋がって両側に垂れた二つのひもに、同じように貝の飾りがついているのを描いた象型文字である。これは、同等のものが並んでいることを意味する。(G)、「朋」とは、対等の立場の人が(H)を並べることをいう。

論語』の冒等に書かれる「朋あり、遠方より来たる。亦た楽しからずや」の「朋」は、師や君、弟子のような地位、年齢が事なることなど関係なく、同じ志を持ってそれに向かっている人を言ったものである。

生活費を与え、死後に全集を刊行した金田一京助野村胡堂などは、啄木にとって「(I)ではなく、「J」だったのである。
 <山口謡司『感動する漢字』廣済堂出版(一部改変)>


問い

(1)文章中には誤って用いられた漢字が10個あります。誤って用いられた漢字を抜き出し、よみを変えずに正しい漢字に直しなさい。


(2)(B)にあてはまるものをア〜カから選んで記号で答えなさい。
  ア あこがれ  イ 一握の砂  ウ 雨月物語
  エ 永訣の朝  オ おらが春  カ 海潮音


(3)(C)(D)(E)(G)にあてはまるものをア〜クから選んで記号で答えなさい。
  ア さて  イ なぜなら  ウ また  エ すると
  オ 一方  カ すなわち  キ たとえば  ク もちろん


(4)(F)(H)にあてはまるものをア〜カから選んで記号で答えなさい。
  ア 首  イ 耳  ウ 歯
  エ 頭  オ 胸  カ 肩


(5)(A)(I)(J)には、それぞれ「友」か「朋」のどちらかの漢字が入ります。それぞれ漢字を入れなさい。


 <2013年度 関西国際大学 公募制推薦入試(後期日程)適性検査 -保健医療学部->



〈答えは来年(!?)〉
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