<金口木舌>バスに乗って
- 「ふるさとの訛(なまり)なつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく」(石川啄木)。とまではゆかないが、自家用車所有をやめてバスに乗り始めたら発見した。
- 盗み聞きするでもなく突然耳に入って来る乗客の言葉の断片がある。例えば一昨日の夜、中年女性の「あじゃま(あらら)」という言葉が耳に飛び込んだ。敬愛する叔母の口癖に、元気にしているかと思い出す。仕事帰りかその女性、同乗者と長男の問題を話し込んでいた。
- バスの語源はラテン語のオムニバス(万人向きの)から来ているとか。昨年、辺野古の県民集会帰りに乗った路線バスでは乗客が大根の漬物を回し合った。旅は道連れ、世は情け。
(2015-05-23 琉球新報)
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