〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

見よ、今日も、かの蒼空に飛行機の高く飛べるを。  啄木


[ハクウンボク]


《コラム》 岩手日日新聞

  • 見よ、今日も、かの蒼空に飛行機の高く飛べるを。給仕づとめの少年が…。漂泊の詩人と称された石川啄木。彼が残した「飛行機」と題した詩の冒頭部分である。その昔、国語の教科書にあった。今も晴れた日に飛行機雲を見つけると、凡夫は口ずさむ
  • この作品を啄木が書いたのは、1911年6月27日。東京にいた時だった。なにせ詩題の次に期日と「TOKYO」という文字が記してある。
  • 日本で最初に動力飛行機が飛んだのは、彼が詩を書く半年前の10年12月だ。元号表記で明治43年。まだ頻繁に機影を目にするような時代ではない。飛行機の話題を新聞で知った啄木が、この夢の乗り物をモチーフにした作品を残したともいえる
  • 日本が世界に誇る新幹線の特長は安全性と定時制、高速性だ。その超特急は来春に北陸、再来年には北海道まで延伸。「見よ、今日も、新幹線が走るを」と仰ぎ見る人は増える。

(2014-10-08 岩手日日新聞)

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