〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

啄木の歌にある仏教的な思想 -週刊仏教タイムス-


[「石川啄木WEEK」エンディングトーク(撮影 桜出版)]


石川啄木道元の影響?
  研究者と編集者がトーク展開

  • 石川啄木の没後100年に合わせて「石川啄木WEEK」が東京八重洲ブックセンターで開かれた(12/14〜20)。最終日のエンディングトーク「なみだは重きものにしあるかな」では、曹洞宗総合研究センター専任研究員の菅原研洲氏と、桜出版編集主管の山田武秋氏らが語り合った。
  • 山田氏は『一握の砂』の「大という字を百あまり/砂に書き/死ぬことをやめて帰り来たれり」に着目。道元『典座教訓』にある「所謂大心とは其の心を大山に、その心を大海にし、偏無く党無きの心なり…大の字を書すべし、大の字を知るべし、大の字を学すべし」を背景にした句だと分析。菅原氏も「こころよく/我にはたらく仕事あれ/それを仕遂げて死なむと思ふ」が、『正法眼蔵』の「行持」「仏性」の影響ではないかと推察した。
  • 山田氏は「啄木の謎を解くカギの一つが、お寺に生まれたということ」と指摘。菅原氏はそれに同調しつつ「啄木の歌に明らかに仏教的な思想は『散見』されるものの、『通底』していたかというとなかなかわかりづらい面がある。しかしどこかで影響を受けているものもある」と、やや慎重な姿勢で期待を寄せた。

(2013-01-10 週間仏教タイムス