〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

忙人寸語 -千葉日報-

  • 電子メールの隆盛で文通が廃れつつあるが、元旦はやはり年賀状。
  • 歌人石川啄木もまた盛岡中学時代の旧友に賀状を出し、新春2首を詠んだ。

<天姫がうちふる領ひれの白彩に光は湧きて新世(あらたよ)成りぬ>
<地に理想天に大日の眩はゆき世に眩ゆき希望の春を迎へぬ>

  • 明治37年元旦。19歳の啄木はこの年、堀合節子との婚約を控え、歌人、詩人として立っていけそうだ、と自信もあったことだろう。1枚のはがきにあふれる希望が眩しい。

(2013-01-01 千葉日報記事


甲辰詩程  一の巻
               啄木庵日誌


   一月中(渋民荘にて)
一日。
   白姫が天ふる領の白彩に光は湧きて
   新世成りぬ。
   地に理想天に大日の眩ゆき世に眩ゆき
   希望の春を迎へぬ。


(『石川啄木全集 第五巻』 筑摩書房 1986)