〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

東京駅開業 ふるさとの訛なつかし… <天声人語>


[ホトトギス]


東京駅 若い野心が全国から

  • この駅に向かう列車はすべて上りとなる。「都でひと旗」の時代には、若い野心が全国から降り立ち、入れ違いに失意の背が車中に消えていった。百様の人生が、始発終着のそれぞれに揺れる。
  • 皇居わきの原っぱに東京駅ができたのは 1914(大正 3)年。丸の内の駅舎は赤れんがの 3階建てで、「帝都の表玄関」を意識し、南北に 300メートルを超す威容となった。戦災で失われた二つのドーム屋根や 3階部分が、5年をかけて創建時の姿に復元され、きょう全面開業する。
  • 〈ふるさとの訛(なまり)なつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく〉。岩手出身の啄木の感傷は、往時の上野駅以外では成立しない。同様に、赤れんがの東京駅と切り離せない喜びや哀(かな)しみ、出会いと別れがある。

(2012-10-01 朝日新聞天声人語