《作品に登場する啄木》
『女たちのジハード』
篠田節子 集英社文庫 2000年
《解説》 ヒロインたちへの共感
──こころよく、我にはたらく仕事あれ
田辺聖子
…… これは現代女性への強力な応援歌でもあり、ゆたかな示唆であろう。現代、女性の職場は拡がったようにみえるが、女たちは社会から職業教育を叩きこまれるような仕組みになっていない。それは男たちにのみ与えられる。
女が一人で生きようとするとき、それらは独学独習しなければならない。
石川啄木の歌、
「こころよく
我にはたらく仕事あれ
それを仕遂げて死なむと思ふ」
は、現代では究極的に女たちの呻吟であるか。