〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

東北の被災者と石川啄木の短歌 -西日本新聞-


[アセビ]


「しっとりと なみだを吸へる砂の玉 なみだは重きものにしあるかな」

  • 11日、早朝から続いたテレビの3.11特番を見ていて、東北の被災者と石川啄木のこんな短歌が重なった。重さなき涙も砂に落ちれば重くなる。その砂玉は悲しみの全量であり、重さは計り知れない。
  • 復興の足取りを「三歩あゆまず」と書いても、間違いではないだろう。がれき処理、新しい仕事、そして除染…。
  • この日、風になった1万5854の魂が、空を舞って被災地に雪を運んだ。「子を負ひて 雪の吹き入る停車場に われ見送りし妻の眉かな」(啄木)。(田端良成)

(2012-03-12 西日本新聞朝刊>コラム>デスク日記)