〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

再構成した「復元 啄木新歌集」(桜出版)


[より高く]


啄木の2歌集を再構成 近藤さんが刊行
国際啄木学会元会長の近藤典彦さんが研究成果に基づいて啄木の歌集を再構成した「復元 啄木新歌集」(桜出版)が刊行された。

  • 「一握の砂以後(四十三年十一月末より)」と「仕事の後」の二つの歌集で構成。「一握の砂以後−」は、啄木の死後、友人の土岐哀果が編集した「悲しき玩具」の歌の順番を入れ替えた。「悲しき玩具」冒頭の「呼吸(いき)すれば、/胸の中にて鳴る音あり。/■凩(こがらし)よりもさびしきその音!」(■は1字空け)など2首を制作順に合わせて末尾に移した。
  • 「仕事の後」は第1歌集「一握の砂」の第1次原型といえる「幻の歌集」。「一握の砂」刊行の8カ月ほど前に出版社に持ち込んだ225首。まとまった形で残っていないが、先行研究の成果から歌稿ノートの手がかりをもとに収録歌を復元し制作順にまとめた。
  • 近藤さんによる解説は97ページにわたる。「悲しき玩具」の編集の問題点や二つの歌集の成立過程などを詳しく紹介している。

 文庫判、316ページ。1050円。桜出版 TEL.03-3269-3420。
(2012-02-08 岩手日報