赤裸々な“石川啄木”の姿
「はたらけど はたらけど猶(なほ)わが生活(くらし)楽にならざり ぢっと手を見る」
- 稀代の歌人・石川啄木(1886-1912)によるこの短歌は、『一握の砂』に収められた一篇だ。誰しも一度は見聞きしたことがあるだろう。だが、彼がどんな人物だったかを知る人は意外と少ないのではないだろうか。
- そんな石川啄木という人物に触れることができる一冊がある。『啄木・ローマ字日記』(岩波書店/刊)だ。岩波書店から文庫版が1977年に出版されている。
- 献身的にわが身を支えてくれる親友の金田一京助を扱き下ろす。妻から生活費の催促をされ、会社から前借りした金で女を買ってしまう。書かなければならない原稿をそっちのけにして、何をするでもなく電車に揺られ続ける。会社をサボる。……等々。
- だが、そこにこそ石川啄木という人物の輝きを見ることもできる。(ライター/石橋遊)
(2011-11-23 新刊 JP ニュース)