〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「手が白く 且つ大なりき…」尾崎行雄と石川啄木


[ハマナス]


11月15日付け照明灯

  • 「憲政の神様」と呼ばれる尾崎行雄(咢堂)の人柄を偲ばせる逸話を、「尾崎行雄を全国に発信する会」の初代会長を務めた大塚喜一さんが自著で紹介している。(「咢堂 尾崎行雄ものがたり」つくい書房)
  • 手が白く/且(か)つ大(だい)なりき/非凡なる人といはるる男に会ひしに―。石川啄木の歌集「一握の砂」にある。歌に詠まれた「男」について「高村光太郎のことではないか、という話が伝わったこともあるようだが、(中略)やはり咢堂をうたったものであろう」、と。
  • 東京市長だった尾崎は前触れもなく訪れた無名の啄木に多忙にもかかわらず面会した。啄木は初の詩集に尾崎氏に献ず、と記すほど私淑していたという。尾崎はそれでも後年、自伝で「なぜもう少し親切に待遇しなかったか」と悔やんだ。大塚さんは「咢堂の人間味あふれる話である」と書いた。

(2011-11-15 神奈川新聞>照明灯)