[雨のあと・ヒペリカム・ヒドコート]
我を愛する歌
(P.72)
顔あかめ怒りしことが
あくる日は
さほどにもなきをさびしがるかな
いらだてる心よ汝はかなしかり
いざいざ
すこし呿呻などせむ
<ルビ>怒り=いかり。汝=なれ。呿呻=あくび。
(P.73)
女あり
わがいひつけに背かじと心を砕く
見ればかなしも
ふがひなき
わが日の本の女等を
秋雨の夜にののしりしかな
<ルビ>背かじ=そむかじ。日の本=ひのもと。女等=をんなら。秋雨=あきさめ。