【思ふことあり】
マラソンに似る「復興」
スポーツジャーナリスト・増田明美
- 3月11日に起きた東日本大震災後、自分の中で何かが変わった気がする…。
- 震災から2週間後、高速道路が通行可能になるとすぐ、福島県いわき市へ向かった。2月の「いわきサンシャインマラソン」で、大漁旗を揚げて応援してくださった方たちの安否が気になったからだ。
- 復興に向かう道程は、ゴールが見えないマラソンのようにも思える。私はよく「走っているときに何を考えていましたか」と尋ねられるが、こう考えていた。「あの先の角までがんばろう。次はあの大きな看板…」。目標となる景色を変えながらゴールに少しずつ近づいていった。これからの日本にも、そんな走り方が必要ではないだろうか。
- 石川啄木の「何事も思ふことなく日一日 汽車のひびきに心まかせぬ」の歌にもヒントを得た。岩手県出身の詩人の持つ言葉ののどかさと温かみが好きなのだ。
(2011-05-23 産経ニュース)