〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い息づかいに触れてみたい

石川啄木 著(P.58〜59)遠方に電話の鈴の鳴るごとく

[アカガシ]


我を愛する歌


(P.58)


   遠方に電話の鈴の鳴るごとく
   今日も耳鳴る
   かなしき日かな


   垢じみし袷の襟よ
   かなしくも
   ふるさとの胡桃焼くるにほひす
   

<ルビ>遠方=ゑんぱう。鈴=りん。垢=あか。袷=あはせ。胡桃=くるみ。


(P.59)


   死にたくてならぬ時あり
   はばかりに人目を避けて
   怖き顔する


   一隊の兵を見送りて
   かなしかり
   何ぞ彼等のうれひ無げなる


<ルビ>怖き=こはき。何ぞ=なにぞ。