2011-02-25 石川啄木 著(P.58〜59)遠方に電話の鈴の鳴るごとく 『一握の砂』東雲堂版 [アカガシ] 我を愛する歌 (P.58) 遠方に電話の鈴の鳴るごとく 今日も耳鳴る かなしき日かな 垢じみし袷の襟よ かなしくも ふるさとの胡桃焼くるにほひす <ルビ>遠方=ゑんぱう。鈴=りん。垢=あか。袷=あはせ。胡桃=くるみ。 (P.59) 死にたくてならぬ時あり はばかりに人目を避けて 怖き顔する 一隊の兵を見送りて かなしかり 何ぞ彼等のうれひ無げなる <ルビ>怖き=こはき。何ぞ=なにぞ。