[カリン]
我を愛する歌
(P.46)
何やらむ
穏かならぬ目付して
鶴嘴を打つ群を見てゐる
心より今日は逃げ去れり
病ある獣のごとき
不平逃げ去れり
<ルビ>穏か=おだやか。目付=めつき。鶴嘴=つるはし。群=むれ。病=やまひ。獣=けもの。
(P.47)
おほどかの心来れり
あるくにも
腹に力のたまるがごとし
ただひとり泣かまほしさに
来て寝たる
宿屋の夜具のこころよさかな
《つぶやき》
啄木に帰宅拒否症の気を感じる。
<拒否できる立場にあるかどうか>で罹患が決まるというのは、上から目線だろうか。帰りたくても帰れないのが主症状なのだから。