[コムラサキ]
死者と自分と出会うために 新井満さん『お墓めぐりの旅』出版
私のお墓の前で/泣かないでください/そこに私はいません/死んでなんかいません
- 有名な「千の風になって」の翻訳と作曲を手がけた作家の新井満さんが「お墓めぐりの旅」を出版した。
- 十代のころ、石川啄木の『一握の砂』が好きで、海辺でよく読みふけった。広告代理店に就職した2年目にお金ができたので、函館にある啄木の墓をお参りに行った。
- 墓めぐりの魅力とは、そこに眠っている故人について思いをめぐらし、どうして自分はこの人を大切に思うのか、尊敬するのかを考える。
- 墓をめぐれば、自分の過去、現在、未来に目を向けざるを得なくなる。言ってみれば、死者に出会い、自分にも出会う。それが墓めぐりなのかもしれない。
「お墓めぐりの旅」新井 満 著 朝日新聞出版 819円
(2010-11-17 朝日新聞)