〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

憶う


[ハルリンドウ]


100年後にも……

啄木忌・4月13日はとっくに過ぎたが、ふと目にした文章に惹かれた。

啄木は、「ダメ人間の典型として、多くの人びとに支持され愛されて不朽の名声を獲得している」。盛岡中で、啄木の「二年先輩の及川古志郎(海軍大臣)は立派人間の典型であった」。しかし、「今日啄木が天才歌人として不朽の名声を得ているのに反して、及川古志郎は誰一人省みる者はなく、戦後のわかもので彼の名を知る者はいない」  [岩城之徳「啄木忌に憶う」(短歌シリーズ・人と作品 10『石川啄木』月報 おうふう)]


死後まで見とおすと、人間世界は面白いとも言っている。今年は啄木の99回忌だった。いま生きている人びとのほとんどがいない100年後も、きっと啄木の歌は愛されているのだろう。