〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

『啄木―ふるさとの空遠みかも』評・望月善次


【ナツミカン】


三枝昂之著『啄木―ふるさとの空遠みかも』評・望月善次

  • 「現代において啄木を読む意味」はどうしたところにあるのか。それは、啄木が日本人の心の基本的なさまざまな側面を表しているからである。
  • 本書もまた、新しく啄木短歌の魅力を開拓した一書である。どうした点が新しいのか。本書が啄木短歌の考察において、誰もが十分になすことができなかった「研究」と「創作」との架橋に成功したからである。
  • 架橋はどのようになされているのか。広範な短歌史の知識の中に啄木を定位してみせたのである。これは従来の啄木研究が果たせなかった点であった。
  • 「研究」と創作の架橋を果たした結果として新知見は産み出されたのか。確かに産み出されている。
  • 本書を実際に手にとって戴き、筆者の昂ぶりが信憑性のあるものなのかを検証してもらいたいと思うのみである。

2009-11-06 山梨日々新聞)


『啄木―ふるさとの空遠みかも』