『蟹工船』混迷の現代を生きるすべての人に!
- 監督 SABU
- 2009年7月4日公開 日本
- 出演 松田龍平 西島秀俊 高良健吾 新井浩文 柄本時生 木下隆行 木本武宏 三浦誠己 竹財輝之助 利重剛 清水優 滝藤賢一 山本浩司 高谷基史 手塚とおる 皆川猿時 矢島健一 宮本大誠 谷村美月 大杉漣 森本レオ
カムチャッカ沖でカニを捕り、その場で缶詰を作る蟹工船。劣悪な労働により仲間が殺されていく労働者たちは、ある日、立ち上がる・・・。
小林多喜二の『蟹工船』は、1929年(昭和4)の発表だから、ちょうど80年前だ。それが今の世に新しく映画化された。観たときには、「おしゃれに現代風にまとめてしまって」と思った。音楽がとても快かったし・・。帰宅してから改めて原作を読んだ。SABU監督は、原作をていねいに描こうとしていたことに気づいた。その上で、どんな時代にも共感できるものとして映像化している。
労働者たちを監視する監督(西島秀俊)の演説に「蟹工船の事業は、…国際上の一大問題なのだ。…我カムサツカの漁業は蟹罐詰ばかりでなく、鮭、鱒と共に、…他の国とは比らべもならない優秀な地位を保っており」、「…始終我帝国の軍艦が我々を守っていてくれることになっているのだ。……」という言葉があった。
我々を守るはずの駆逐艦がやってきたのに、信じられないことが起きる。
「ストライキやったんだ」という言葉に対して、お笑いコンビTKOの木下隆行さんのセリフは、「ストキがどうしたって?」だった。お笑いだからこんな言い回しにしたのかと思ったが、本の通りだった。
かっこよいリーダー(松田龍平)の言葉。
「水夫と火夫がいなかったら、船は動かないんだ。労働者が働かねば、ビタ一文だって、金持の懐にゃ入らないんだ」
すっきり、バンザイの気持ちとは異なるが、「自分で考えて、自分で行動する」ことの大切さを噛みしめながらみるエンドロールだった。