〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「ロマンス」ボードビルを愛したチェーホフ

【夏 シベリアの大地】


「ロマンス」こまつ座シス・カンパニー公演

ボードビルを愛したロシアのアントン・チェーホフと、彼を支える妹と妻を描いた作品。
井上芳雄さんの身のこなしと声量は、「生でよかった!」と感激。
なんといっても大竹しのぶさん。チェーホフをだましてお金をとるおばあさん・ニセの死亡診断書を書かせる下級官吏14等官の妻・タバコ売りからチェーホフの妻に……と、自在に自由に演じる。
今回も初日の2日前に原稿ができたそうだが、「楽しんでやるしかない」という潔さを感じた。

作者の井上ひさしさんは、「笑うことで人と人とのむき出しの衝突が避けられる」「価値観が一つになるのは本当に危ない」「笑いは、それぞれが違いを認め合うことにつながる」と、新聞のインタビューに応えている。
激しく熱い舞台をしっとり、しっかり支えていたのはピアノの音。生の。


たくさん笑って幸せになった。