【カレイドスコープ】
「奇跡の6日間」
- アーロン・ラルストン 著 中谷 和男 訳 小学館
- 2005年 2,100円
27歳の登山家が、峡谷で岩に手を挟まれ身動きとれなくなる。水も食料もない状態から、6日目に奇跡の生還を果たす。
夜間の寒さ対策として、辛うじて動かせる全てを使って、ビニールのレジ袋を腕に巻く。下半身は50mほど残っていたテープを巻き付ける。
「ぼくは思わず噴きだしてしまった。テープは緑と黄色で、まるで鉢植えの緑のつる草が巻きついているように見える」
このときに及んでこの客観性、ユーモア。
「ぼくは多くのことを学んだが、その選択を後悔はしない。」
「…それが苦しい選択であり、なにかを切り落として過去の忘却のなかに棄てることになっても、行動に立ちあがらなければならない。『さようなら』と言うことは、大胆で力強い、もうひとつの始まりなのだ」
機械工学を専攻していた人らしい科学的な眼を感じる。
誰にも勧められる本ではない。しかし、何かにぶつかったとき『まだ、あきらめてはいけない』ということを私に教えてくれた。