〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

 ホームシックは万国共通 《ふるさとの訛なつかし》 石川啄木


[シナアブラギリ]


「新大久保で耳を澄ます」(天声人語

  • 「事故防止のため階段や通路は右側を歩いて下さい」。東京のJR新大久保駅で は構内放送を20以上の言語で流す。駅の案内に使う外国語の数では世界でも指折りの多さだろう。発案者は前駅長の阿部久志さん。きっかけは「外国人客が右往左往する。人の流れを円滑に」と商店街などから求められたこと。改札や切符売り場でのやり取りを通じ、日本語のおぼつかない留学生の多さはかねて実感していた。
  • 駅に近い日本語学校に協力を頼み、在校生に母語で放送文を読み上げてもらった。3年前、構内で放送を始めると、共感する声がネットで世界に広まった。
  • 「ホームシックは万国共通です。親元を離れて日本へ来て、懐かしい言葉を聞けばどれだけ励まされるか」と阿部さん。
  • 〈ふるさとの訛(なまり)なつかし 停車場(ていしゃば)の人ごみの中に そを聴きにゆく〉石川啄木。駅の人ごみの中に、そを聴く若者が幾人もいる気がした。

(2018-01-31 朝日新聞


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