〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

啄木がこんなにも優れた散文を遺していた…三浦哲郎


[ノブドウ]


芥川賞作家 三浦哲郎
  作風と文学への旅 33


○ 随筆「啄木のローマ字日記」

  • <この≪ローマ字日記≫を初めて読んで、啄木がこんなにも優れた散文(ローマ字もまた散文の一つに数えられるならばだが)を日記というひそやかな形で遺していたことに驚く> と同時に≪一握の砂≫や≪呼子と口笛≫と比べても <遜色ない代表作ではないかと思うようになった> と本音を吐露する。
  • それまで書き渋りがちだった文がローマ字を使うことでよどみない、伸び伸びと生気に満ち <肌理のこまやかな文章> になり <どんな恥ずかしいこと> や <汚らしいこと> でも平気でというより <むしろ新鮮な情熱をもって躊躇なく> 書けた。(吉田徳壽 前東奥日報社編集委員

(2011-11-13 東奥日報